熱中症について…平成26年7月

今年は5月下旬頃から6月中にも暑い日が続き、岡山県内でも熱中症で救急搬送された方がおられます。 そもそも人間の体温はほぼ37℃になるように調節されています。
これは代謝によって発生する熱(産熱)と体からにげていく熱(熱放散)のバランスをとっているからです。
このバランスがくずれ、産熱量が熱放散量を上回った場合に熱が体にたまって体温が上昇し、逆の場合には体温が下がります。

  • 熱中症の発生は梅雨の合間に突然気温が上昇した日や、梅雨明けの蒸し暑い日などに多く認められ、最も気温の上昇する8月中旬以降ではかえって発生件数が低下しています。
    その原因は急な暑さに身体が慣れていないことが上げられます。暑熱順化(身体が暑さに慣れる)に必要な期間はほぼ3日〜4日くらいだそうです。
  • 暑さへの耐性は個人によって大きな差があります。体力の低い人、肥満の人、暑さに慣れていない人など、特に乳幼児や高齢者は要注意です。
  • 熱中症の病型
    T)熱失神
    暑熱環境では、体温調節のために皮膚の血管は拡張します。このような皮膚血管の拡張によって血圧が低下、脳血流が減少しておこるもので、めまい、失神などがみられます。脈が速くて弱くなり、顔面蒼白、呼吸回数の増加、唇のしびれなどもみられます。長時間立っていたり、立ち上がった時や運動後などにおこります。
    U)熱疲労
    大量の汗をかき、水分の補給が追いつかないと脱水が起こり、熱疲労の原因となります。熱疲労では、脱力感、怠慢感、めまい、頭痛、吐き気などの症状がみられます。
    V)熱けいれん
    汗をかくと水と塩分が失われます。汗の塩分濃度は血液の塩分濃度より低いため大量の汗をかくと血液の塩分濃度は高くなります。大量の汗をかき水だけを補給した場合は、反対に血液の塩分濃度が低下し、その結果、足、うで、腹部などの筋肉に痛みを伴ったけいれんが起こるのが熱けいれんです。暑熱環境で、長時間の運動をして大量の汗をかくときにおこるものです。
    W)熱射病
    高温環境で激しい運動を行うと、運動により発生した熱が体表面から放散することができず体温が上昇し、その結果脳の温度が上昇して体温調節中枢に障害が及ぶと熱射病になります。
    熱射病では、異常な体温の上昇(40℃以上)と種々の程度の意識障害(応答が鈍い、言動がおかしい、意識が無い)が特徴で、頭痛、吐き気、めまいなどの前駆症状やショック状態などもみられます。
    また、血液の凝固因子が消耗して血液が固まらなくなったり、脳、心臓、肺、肝臓、腎臓などの全身の臓器障害を合併することが多く、死亡率も高くなります。
  • 熱中症の救急処置
    T)熱失神、U)熱疲労
    涼しい場所に運び、衣服を緩めて寝かせ、水分を補給すれば通常は回復します。足を高くし、手足を末梢から中心部に向けてマッサージするのも有効です。吐き気や嘔吐などで水分補給できない場合には病院に運び、点滴を受ける必要があります。
    V)熱痙攣
    生理食塩水(0.9%)を補給すれば通常は回復します。
    W)熱射病
    死の危険のある緊急事態です。体を冷やしながら集中治療できる病院へ一刻も早く運ぶ必要があります。いかに早く体温を下げて意識を回復させるかが予後を左右するので、現場での処置が重要です。
    熱射病が疑われる場合には、直ちに冷却処置を開始しなければなりません。冷却は皮膚を直接冷やすより、全身に水をかけたり、濡れタオルを当ててあおぐ方が気化熱による熱放散を促進させるので、放熱の効率が良くなります。
    また、頸部、腋下(脇の下)、鼠径部(大腿の付け根)などの大きい血管を直接冷やす方法も効果的です。
    また、とっさの場合、近くに十分な水が見つからないときの効果的な身体の冷却法として、次のことを実行してください。水筒の水、スポーツドリンク、清涼飲料水等を口に含み、患者の全身に霧状に吹きかけてあげてください。全身にまんべんなく吹きかけることにより、汗による気化熱の冷却と同じような効果をもたらします。これらの液体は、冷たい必要はありません。
    熱射病では合併症に対して集中治療が必要ですので、このような冷却処置を行いながら、集中治療のできる病院に一刻も早く運ばなければなりません。

熱射病は、死の危険が差し迫った緊急疾患であることを十分認識してください。

参考資料:大塚製薬パンフレット  熱中症予防ガイドブック

 

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